【イグ・ノーベル賞2026】受賞した旭川医科大学 海野徳二名誉教授「正しい鼻のかみ方」とは?

「正しい鼻のかみ方」を科学的に研究していた?

風邪をひいたときや花粉症のとき、鼻水が出ると何気なく鼻をかみますよね。

でも、「鼻はどうやってかむのが正しいの?」と考えたことがある人は、意外と少ないのではないでしょうか。

実は、鼻のかみ方を科学的に調べた研究があります。

その研究は、1977年に発表された「鼻のかみ方―鼻の気体動力学的研究―」という論文です。

研究では、鼻をかむときに空気がどのように動くのか、そして鼻や耳にどのような変化が起こるのかを調べています。

一見すると身近すぎるテーマですが、実際に測定してみると、意外なことが分かりました。

研究で分かった「正しい鼻のかみ方」

この研究から分かるポイントを簡単にまとめると、次のようになります。

ポイント研究で示された内容
鼻のかみ方片方ずつかむ
押さえる鼻通りの良い側を押さえる
かむ前に少し吸う
しっかり力を入れて吐く
時間一瞬ではなく、ある程度長く吐く

つまり、鼻水が出ているときに両方の鼻を一気にかむのではなく、片方の鼻を押さえて、もう片方からしっかり息を出すという方法です。

 

なぜ「片方ずつ」なの?

鼻には左右2つの通り道があります。

ところが、風邪や花粉症などで鼻が詰まっていると、左右で空気の通りやすさが違うことがあります。

そこで研究では、通りの良い方の鼻を押さえて、通りにくい方から息を出す方法について調べています。

例えば、右の鼻はスースー通るけれど、左の鼻は詰まっているとします。

この場合は、右の鼻を押さえて、左の鼻から息を出します。

こうすることで、詰まっている側にも空気を送り込みやすくなります。

 

「強くかまない方がいい」は間違いなの?

ここが、この研究で特に興味深いところです。

一般的には、「鼻は強くかまず、優しくかみましょう」と言われることがあります。

ところが、この1977年の研究では、鼻の中の空気をしっかり動かすためには、ある程度の力が必要だと考えられています。

研究では、鼻をかむときの空気の流れや量などを実際に測定しました。

その結果、鼻をかむときにはかなり大きな空気の流れが生まれることが分かりました。

つまり、「ちょっとだけフンッ」とするよりも、しっかり息を吐き出すことが鼻水を出すうえでは重要だと考えられたのです。

ただし、これはあくまで当時の研究結果です。

「とにかく思い切り強く鼻をかめばいい」という意味ではありません。

 

「フンッ!」ではなく「フーーーン」がポイント?

鼻をかむとき、勢いよく「フンッ!」と一瞬だけ息を出す人もいると思います。

しかし、この研究では、鼻をかむ時間も測定されています。

実験で鼻をかんだ時間の平均は、約1.3秒でした。

測定項目研究結果
鼻をかむ時間平均約1.3秒
呼び出された空気の量平均約1.34リットル

これは「1.3秒が絶対に正しい」という意味ではありません。

実験に参加した人たちが、実際に鼻をかんだ時間の平均が約1.3秒だったということです。

イメージとしては、「フンッ!」と一瞬で終わらせるより、「フーーーン」と少し長めに息を吐く感じです。

 

鼻をかむ前には「少し息を吸う」

鼻をかむときには、まず口から少し息を吸います。

そして、片方の鼻を押さえ、もう片方から息を吐き出します。

ただし、肺いっぱいになるまで大量に息を吸い込む必要はありません。

研究では、少し息を吸ってから吐き出すことがポイントとされています。

 

実際にはどうやって鼻をかめばいい?

研究の内容を、普段の生活で分かりやすい形にすると次のようになります。

① まず少し息を吸います。

② 左右の鼻のうち、どちらが通りやすいか確認します。

③ 通りやすい方の鼻を指で押さえます。

④ 反対側の鼻から、しっかり息を吐き出します。

⑤ 「フンッ」と一瞬で終わらせず、少し長めに息を吐きます。

⑥ 反対側も同じようにします。

やり方おすすめ度
両方の鼻を一気にかむ避けたい
片方ずつかむ基本の方法
通りの良い側を押さえる研究で示された方法
一瞬だけ強く「フンッ」避けたい
少し長めに息を吐く研究の考え方に近い

 

鼻を強くかむと耳に影響することも

この研究では、鼻をかんだときに耳の中の圧力がどう変化するのかについても調べています。

鼻と耳は、耳管という細い通路でつながっています。

そのため、鼻を強くかむと、鼻だけではなく耳の周辺にも圧力の変化が起こることがあります。

だからといって、鼻をかむこと自体が悪いわけではありません。

大切なのは、鼻が詰まっているからといって、無理やり何度も強く鼻をかまないことです。

耳が痛くなったり、鼻づまりがひどかったりする場合は、無理をせず耳鼻科などに相談した方が安心です。

 

この研究から分かる「鼻のかみ方」のポイント

今回の研究を高校生でも分かるように一言でまとめるなら、「片方ずつ、通りの良い方を押さえて、反対側からしっかり息を出す」ということになります。

ただし、これは1977年に行われた研究に基づく考え方です。

現在の健康情報では、鼻を強くかみすぎないように注意することも大切とされています。

特に耳が痛いときや、鼻が完全に詰まっているときは、無理に力を入れない方がいいでしょう。

 

「正しい鼻のかみ方」を研究した理由が面白い

普段は何気なくやっている「鼻をかむ」という行動ですが、実際に測定してみると、空気の流れや圧力など、意外と複雑な現象が起きています。

このように、私たちが当たり前だと思っている日常生活の行動を、科学の視点から調べてみると、新しい発見につながることがあります。

「鼻はどうやってかむのが一番いいのか?」という身近な疑問を、本格的な科学研究にしたところが、この研究の面白いところなのです。